「オンプレミスのシステムをAWSに移行したい」「逆にAWSからオンプレミスに戻す検討をしている」――AWSとオンプレミスの間の移行は、2026年のIT部門における最重要テーマの一つです。
AWSは豊富な移行ツールを提供しており、正しく活用すればスムーズな移行が可能です。一方で、すべてをAWSに移行することが最適解とは限りません。特にAI基盤や機密データの処理については、オンプレミスを維持する判断も重要になっています。
本記事では、
- AWSの主要移行ツール一覧と使い分け
- オンプレミスからAWSへの移行手順
- AWSからオンプレミスへの回帰(リパトリエーション)
- AI基盤をオンプレミスに残すハイブリッド戦略
を解説します。
AWSとオンプレミスの移行パターン
パターン1:オンプレミス → AWS(クラウド移行)
自社のサーバーやシステムをAWSのクラウド環境に移すパターンです。
パターン2:AWS → オンプレミス(オンプレ回帰)
一度AWSに移行したシステムを、コスト・セキュリティ・パフォーマンスの理由でオンプレミスに戻すパターンです。近年増加傾向にあります。
パターン3:ハイブリッド構成
AWSとオンプレミスを併用し、ワークロードに応じて最適な場所に配置するパターンです。2026年に最も主流のアプローチです。

GBase OnPrem:AWSとのハイブリッド構成でもオンプレミスAIを実現
AWS主要移行ツール一覧
評価・計画フェーズ
| ツール名 | 用途 |
|---|---|
| AWS Migration Hub | 移行プロジェクト全体の進捗管理ダッシュボード |
| AWS Application Discovery Service | オンプレミスのサーバー構成・依存関係を自動検出 |
| AWS Migration Evaluator | 移行後のコストシミュレーション・TCO比較 |
サーバー移行フェーズ
| ツール名 | 用途 |
|---|---|
| AWS Application Migration Service (MGN) | サーバーをそのままAWSに移行(リホスト) |
| AWS Server Migration Service (SMS) | VMware/Hyper-V仮想マシンの移行 |
データベース移行フェーズ
| ツール名 | 用途 |
|---|---|
| AWS Database Migration Service (DMS) | 同種・異種DBの移行(100万以上の実績) |
| AWS Schema Conversion Tool (SCT) | DBスキーマの変換(Oracle→Aurora等) |
データ転送フェーズ
| ツール名 | 用途 |
|---|---|
| AWS DataSync | 大容量データの高速転送・同期 |
| AWS Transfer Family | SFTP/FTPS/FTPでのファイル転送 |
| AWS Snow Family | 物理デバイスでの大容量データ移送(PB級) |
GBase OnPrem — 社内データを外に出さず、生成AIのフルパワーを活用
Advanced RAG × LLM/VLMデュアルモデル。NVIDIA DGX Spark対応でGPUコスト85%削減。
オンプレミスからAWSへの移行手順【6ステップ】
ステップ1:現状の可視化(Discovery)
AWS Application Discovery Serviceを使って、オンプレミス環境のサーバー構成・ネットワーク・依存関係を自動で収集します。
ステップ2:TCO比較と移行計画
| 比較項目 | オンプレミス | AWS |
|---|---|---|
| 初期費用 | 高(サーバー購入) | 低(従量課金) |
| 月額費用 | 低(固定) | 変動(利用量に比例) |
| 保守費用 | 自社負担 | AWS側が管理 |
| GPU費用 | 初期投資のみ | 月額課金(高額) |
ステップ3:移行方式の決定
| 方式 | 概要 | 期間 | 適用 |
|---|---|---|---|
| リホスト | そのままAWSへ移行 | 短 | 早期移行が必要 |
| リプラットフォーム | 一部最適化して移行 | 中 | DB変更など部分改修 |
| リファクタリング | 設計から見直して再構築 | 長 | クラウドネイティブ化 |
| リテイン | オンプレミスに残す | – | AI基盤・機密系 |
ステップ4:ネットワーク接続の構築
- AWS Direct Connect:専用線接続(低遅延・高帯域)
- VPN接続:インターネット経由の暗号化トンネル(低コスト)
- AWS Outposts:AWSインフラをオンプレミスに設置(ハイブリッド構成に最適)
ステップ5:段階的な移行実行
- 開発・テスト環境
- 社内向けシステム(メール・ファイルサーバー)
- 顧客向けWebシステム
- 基幹系システム
ステップ6:運用最適化
移行後は、AWSのコスト最適化ツールを活用して継続的にコストとパフォーマンスを監視します。

社内ナレッジベースはオンプレミスで安全に管理
AWSからオンプレミスへの回帰が増えている理由
1. コストの想定超過:データ転送料やGPUインスタンス料金が想定以上に膨らむケース。
2. パフォーマンスの問題:大容量データのリアルタイム処理でネットワーク遅延が業務に影響。
3. セキュリティ・コンプライアンス:データの所在地を自社内に限定する規制がある業界。
4. クラウド人材の不足:AWS運用に精通したエンジニアの確保が困難。

完全ローカル処理でデータ主権を確保
AWS × オンプレミスのハイブリッド構成
| 配置先 | ワークロード | 理由 |
|---|---|---|
| AWS | Webアプリ・メール・CRM | スケーラビリティ重視 |
| AWS | 開発/テスト環境 | 柔軟なリソース管理 |
| オンプレミス | AI/ML基盤 | GPUコスト・データ保護 |
| オンプレミス | 機密データDB | セキュリティ・コンプライアンス |
AI基盤はAWSよりオンプレミスが有利な理由
生成AIのワークロードをAWSで運用する場合、以下の課題が発生します。
| AWSインスタンス | 月額費用(概算) | 用途 |
|---|---|---|
| p4d.24xlarge | 約250万円/月 | 大規模LLM推論 |
| g5.xlarge | 約8万円/月 | 小規模推論 |
GBase OnPremなら
GBase OnPremは、オンプレミス環境でAI基盤を完結させます。
- NVIDIA DGX Spark対応:従来の1/20コスト、GPU 85%削減
- Advanced RAG(ハイブリッド検索):社内文書を高精度に検索・回答
- LLM + VLM デュアルモデル:テキストも図面も画像も理解
- 完全ローカル処理:データがAWSを含む社外に一切出ない
- 2週間PoC → 1ヶ月本番稼働
清水建設では、建設図面のAIレビューにGBase OnPremをオンプレミスで導入しています。

LLM/VLMモデルをオンプレミスで管理
AWS移行の判断チェックリスト
- [ ] データの機密レベルはクラウド移行を許容するか?
- [ ] 3年/5年のTCO比較でAWSが有利か?
- [ ] ネットワーク遅延は業務に影響しないか?
- [ ] AWS運用スキルを持つ人材がいるか?
- [ ] コンプライアンス要件はクラウド利用を許可するか?
- [ ] GPU/AI処理の月額コストは予算内か?
1つでもNoがあるワークロードは、オンプレミスに残すハイブリッド構成を検討しましょう。

オンプレミスで動作するAIチャット
まとめ:AWS オンプレミス移行の最適解
| ポイント | 推奨アプローチ |
|---|---|
| 移行方式 | ハイブリッド構成(AWS + オンプレミス) |
| 汎用システム | AWSに移行してスケーラビリティを確保 |
| AI/ML基盤 | オンプレミスで運用(GPUコスト・データ保護) |
| 移行ツール | AWS MGN・DMS・DataSyncを活用 |
| コスト管理 | 移行前のTCO試算 + 移行後のFinOps |
AWS オンプレミス移行は、「全部AWSへ」ではなく、ワークロードの特性に応じた使い分けが成功の鍵です。
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